ガンドリルマシンとは
当社は、ガンドリルマシンを用いて、高性能な深穴加工を行うことができる専門メーカーです。ガンドリルマシンは、小銃や猟銃などの銃身に使用される細穴を開けるために開発された特殊な機械であり、非常に高い加工精度と仕上げ面の良さが特徴です。
ガンドリル加工とは、直径が非常に小さいにもかかわらず、長さ方向に極めて深い穴を、高精度かつ高い直進性をもって加工できる、専門性の高い穴あけ技術のひとつです。一般的なドリルでは加工が難しいような、深さが径の数十倍にもおよぶ深穴を、安定した品質で実現できるのが大きな特長です。金属や樹脂などのさまざまな材料に対応可能であり、特に自動車部品、医療機器、金型、航空宇宙分野など、精密性と耐久性が求められる製品に多く利用されています。
本記事では、ガンドリル加工の基本的な仕組みや構造、通常の穴あけ加工との違い、どのような分野で活用されているのかといった「基礎知識」に加え、技術の進化や設備の種類、加工可能な素材・寸法といった「応用的な視点」も交えて詳しく解説します。「深くて細い穴をどう加工すればよいのか分からない」「図面通りに仕上げてくれる業者が見つからない」といったお悩みをお持ちの方のお助けになれば幸いですので、ぜひ最後までご一読ください。
ガンドリル加工(Gun drilling)は、金属や樹脂などに対し、極めて深く、かつ高精度な直線的穴を加工するための特殊な切削技術です。一般的なドリルでは対応できない深さの穴を、優れた直進性と高い寸法精度で実現することができ、この技術は、航空宇宙、自動車、医療機器、金型、エネルギー分野など、多岐にわたる業界で活用されています。
ガンドリルという名称は、その起源が銃身(Gun Barrel)の製造にあることから名付けられました。銃の内部は非常に長く、まっすぐでなければならないため、ガンドリル技術が開発されました。現在ではこの技術が進化し、より高精度で多様な用途に展開されています。
ガンドリル加工と通常ドリル加工の違いは以下の通りです。
ガンドリル加工の「径」とは?
ここでいう「径(けい)」とは、ドリルであける穴の直径(=穴の太さ)を指します。たとえば、直径が5mmのドリルであけた穴の場合、「径の3倍」といえば深さは約15mm、「径の100倍」であれば深さはなんと500mmにもなります。つまり、「穴の太さに対して、どれだけ深い穴をあけられるか」を表す目安として、「径の◯倍」という表現が使われます。
ガンドリル加工の直進性とは?
直進性とは、ドリルであけた穴が、どれだけ真っすぐに伸びているかを表す性能のことです。たとえば、ある部品の片側から反対側まで深い穴をあけたとき、その穴が曲がらずに一直線になっていれば「直進性が高い」といえ、直進性が悪いと、穴が曲がったり、出口がずれてしまったりして、部品として使えなくなることもあります。ガンドリル加工は、この直進性に非常に優れており、数百ミリの深穴でもわずかな誤差で真っすぐにあけることができるが大きな特長です。
ガンドリル加工の面粗度とは?
面粗度とは、加工した表面がどれだけ滑らかかを表す指標です。英語では「Surface Roughness(サーフェス・ラフネス)」と呼ばれ、一般的には「Ra(アールエー)」という単位で数値化されます。たとえば、Ra0.8μmという面粗度は、0.001ミリ以下のレベルで表面が滑らかということを意味します。面粗度が良いと、液体や気体の通りがスムーズになったり、摩擦や摩耗が少なくなったりと、製品の性能に大きく関わります。ガンドリル加工では、仕上げ工程を加えなくても、非常に高い面粗度が得られるため、工程を簡略化できたり、コスト削減につながるメリットがあります。
通常の穴あけ加工と違い、ガンドリル加工では専用の機械が必要です。マシニングセンタでは対応が難しいため、NC制御付きのガンドリルマシンが使用されます。工具は1枚刃または2枚刃の超硬ドリルが主流で、内部に切削油を供給する構造が特徴です。
ガンドリルは、以下のような特徴を持っています
当社は、ガンドリルマシンを用いて、高性能な深穴加工を行うことができる専門メーカーです。ガンドリルマシンは、小銃や猟銃などの銃身に使用される細穴を開けるために開発された特殊な機械であり、非常に高い加工精度と仕上げ面の良さが特徴です。
ガンドリル加工では、真円度0.01mm以下、直進誤差0.05mm以下といった高精度が求められる穴加工が可能です。また、複数の穴を同軸に配置する加工でも非常に高い精度を実現します。また面粗度はRa0.4〜0.8μmと非常に滑らかで、後加工が不要な場合も多くあります。バニシング工程を省略できるため、トータルコストの削減にも繋がります。
ガンドリル加工の「バニシング工程」とは?
バニシング工程とは、金属などの表面を潰すように押しならして、滑らかに仕上げる加工工程のことです。これは削るのではなく、圧力で表面を平らに整える「塑性加工」の一種で、切削よりも光沢のある表面を得ることができます。
ガンドリル加工では最初の穴あけ段階から非常に高い面粗度なため、多くの場合でこのバニシング工程が不要になります。これにより、加工工程が減り、時間やコストの削減につながるという大きなメリットがあります。
φ3mmで150mm以上、φ10mmで800mm以上など、穴径に対して50〜100倍の深さにも対応できるのがガンドリル加工の大きな特徴です。刃先形状を工夫することで、止まり穴でも段差が少なく、なめらかな仕上がりが得られます。深い貫通穴も切りくずを効率よく排出する設計になっています。
内部給油機構により切りくず排出が良く、切削条件を最適化することで高い加工速度が可能になります。その結果、加工時間が短縮され、生産性とコスト効率が向上します。
ガンドリル加工は、その特殊な構造と切削方法により、さまざまな素材への穴あけ加工に対応できます。金属から樹脂、さらには難削材と呼ばれる加工が困難な素材まで、幅広く対応できるのが大きな特長です。ここでは、具体的にどのような素材に対応可能なのか、金属系・非金属系に分けて詳しく解説します。
ガンドリル加工は、金属素材への深穴加工においてその真価を発揮します。以下のような金属材料への実績があります。
金属以外の素材、特に樹脂や複合材料へのガンドリル加工も増えてきています。柔らかい材質でも安定した加工ができるのがガンドリルの利点です。
ガンドリル加工は、非常に高い精度と直進性を持つ深穴加工に特化した優れた技術ですが、すべての加工に適しているわけではありません。いくつかの制約事項を理解しておくことで、適切な加工方法の選定やコストの最適化が可能になります。
ガンドリルはまっすぐな穴を高精度にあけることを前提とした加工法のため、曲線的な穴や、途中で角度が変化するような複雑な三次元穴形状には対応が難しくなります。このような形状が求められる場合は、他の加工法や二次加工との併用が検討されます。
ガンドリル加工は専用の工具や加工条件のセッティングが必要となるため、試作段階や少量生産ではどうしても初期費用が割高になります。加工内容によっては、試作・調整に時間と費用がかかることもあり、コストパフォーマンスを考えると中〜大ロットでの量産向きと言えるでしょう。
したがって、ガンドリル加工を検討する際は、「まっすぐで深い穴が必要か」「ある程度まとまった数量があるか」という2点が大きな判断基準となります。これらに該当しない場合は、他の工法(BTA加工やボーリング、通常ドリルなど)との比較検討が必要です。不二新製作所では、ご要望に応じて最適な加工法のご提案も行っておりますので、迷った場合はお気軽にご相談ください。
比較項目 | ガンドリル | BTA加工 | ボーリング | 通常ドリル |
---|---|---|---|---|
精度 | ◎ | ◎ | ○ | △ |
穴の深さ | ◎ | ◎ | ○ | △ |
コスト(小ロット) | △ | △ | ○ | ◎ |
コスト(中〜大ロット) | ◎ | ○ | ○ | ◎ |
加工スピード | ◎ | ○ | △ | ◎ |
私たちが得意とするのは、ガンドリルマシン・BTAマシンによる細穴加工と深穴加工です。弊社ではガンドリルマシン・BTAマシン・CNC複合旋盤を複数台設置、徹底した効率化と高度化を図り、国内外からのニーズにお応えしています。
また、人材育成とガンドリル・BTA周辺装置更新を積極的に行い、社内生産効率を大幅アップに成功し、材料手配から納品までをより高品質・短納期対応可能な仕組みを確立しました。
金属加工は数千年の歴史があります。諸説ありますが、太古の金発掘が金属加工の始まりといわれ、飛行機や船といった大掛かりの金属加工や、銅像や車といった中程度の加工、スマホや硬貨といった…
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ガンドリル加工やBTA加工についてのお問い合わせは、お電話か下記のメールフォームよりお願いします。ガンドリル加工やBTA加工の材料となる金属材の手配から、ガンドリル加工やBTA加工まで一貫生産をより高品質・短納期で金属加工ができる仕組みを確立しています。他社で「できない」と断られた難しいとされている金属加工(ガンドリル・BTAなどの深穴加工や細穴加工)もぜひご相談ください!お問い合わせは、お電話か下記のメールフォームよりお願いします。
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