SCMでガンドリル加工する際の特徴と注意点

SCM材でガンドリル加工

不二新製作所では、SCM材(クロムモリブデン鋼)を使ったガンドリル加工に関するご相談が増えています。SCM材は、自動車部品や機械部品などに使用される高強度合金鋼で、加工には高度な技術が求められます。本記事では、SCM材に対するガンドリル加工の特徴や注意点について詳しく解説します。


SCM材のガンドリル加工の特徴

そもそもSCM材とは

SCM材のガンドリルサンプル1

SCM材(クロムモリブデン鋼)は、クロムとモリブデンを含有した合金鋼で、強度・耐摩耗性・靭性に優れた工業用素材です。SCM435やSCM440は代表的な材質で、シャフトやギアなどに幅広く使用されており、ガンドリル加工による高精度な深穴あけが求められるシーンが多くあります。


SCM材の特徴

高い強度と耐摩耗性

SCM材のガンドリルサンプル2

SCM材は熱処理により非常に高い強度を得ることができ、機械的負荷の大きい部品にも適しています。また、耐摩耗性にも優れているため、長寿命な部品製造が可能です。


耐熱性と靭性のバランス

SCM材のガンドリルサンプル3

SCM材は高温環境でも安定した機械的性質を保ちます。熱処理後でも靭性が失われにくく、衝撃荷重を受ける箇所でも安心して使用できます。


加工性の難しさ

SCM材のガンドリルサンプル4

SCM材は硬度が高く、加工中に切りくずが詰まりやすいため、ガンドリル加工では切削条件や工具の選定が極めて重要です。特に深穴加工では切りくず排出と冷却が大きな課題となります。


用途の広さ

SCM材のガンドリルサンプル5

SCM材は自動車、建機、航空機などの高負荷部品に使われることが多く、ガンドリル加工による高精度な穴あけが品質維持に欠かせません。深穴の真円度や表面粗さの管理が求められます。


ガンドリル加工とは

ガンドリル加工は、深くて細い穴を高精度で開けるための特殊な切削技術です。SCM材のような硬質素材でも、真直度や内面仕上げに優れた穴あけが可能です。

ガンドリル加工のポイント

高真直度
高硬度のSCM材でもブレを抑え、正確な直進穴が可能
内面仕上げ
再加工不要なほど高品質な内面仕上げ
熱影響の抑制
内部冷却による温度管理で熱膨張を最小限に


ガンドリル加工とは

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SCM材へのガンドリル加工のメリット

SCM材に対してガンドリル加工を行うことで、以下のような大きな利点があります。SCM材(クロムモリブデン鋼)は、機械構造用合金鋼として高い強度と靭性を持ち、自動車部品や産業機械など幅広い分野で使用されています。このような高硬度素材においても、ガンドリル加工はその性能を十分に発揮することができます。

高精度な深穴加工

SCM材のような強靭で粘りのある金属にも、真直度の高い穴あけが可能です。ガンドリル加工では、細径でありながら長さ方向に対して正確な穴あけが実現できるため、軸精度の高いシャフトやピン部品の製作に非常に適しています。特に、寸法公差が厳しく指定される部品においては、他の加工法に比べて優れた加工品質が期待できます。


内面の滑らかさ

ガンドリル加工では、穴の内面が非常に滑らかに仕上がる特長があります。これは、加工時の工具の振れやビビリを抑える構造設計と、高精度な切削条件のもとで行われるためです。そのため、追加の仕上げ加工を必要としないことも多く、特に油路やシャフト穴、流体通路など、内面品質が重要となる用途において大きなメリットとなります。


効率的な切りくず排出

SCM材は切削時に粘りのある切りくずが発生しやすく、一般的な工具では詰まりが生じてしまうことがあります。しかし、ガンドリルは内部に冷却材と切りくず排出用の通路を備えており、高圧クーラントによって切りくずをスムーズに排出します。これにより、加工中のトラブルを防止し、工具寿命の延長や安定した加工精度の維持に貢献します。


高速加工が可能

ガンドリル加工は、工具材質や切削条件を適切に設定することで、SCM材のような硬質材に対しても高速での加工が可能です。従来のドリル加工と比べて加工時間を短縮でき、生産効率の向上に寄与します。量産が求められる部品製造においても、ガンドリル加工は非常に有効な選択肢となります。


優れた熱管理性

ガンドリル加工では、工具内部から冷却液を直接供給する構造により、加工中の発熱を効率よく抑えることができます。これにより、熱変形や工具摩耗といった問題を最小限に抑え、長時間の加工でも安定した精度を維持できます。特に、精密部品や高精度が求められる分野では、この熱管理性の高さが重要なメリットとなります。


SCM材のガンドリル加工の注意点

SCM材は高硬度・高靭性のため、加工が難しい素材です。ガンドリル加工においても、熱・摩耗・排出トラブルなどに注意する必要があります。

工具負荷の大きさ

SCM材は硬度が高いため、工具に大きな負荷がかかり、摩耗が進行しやすくなります。切りくずが滞るとさらに破損リスクが高まります。

対策ポイント

  • 耐摩耗性に優れたコーティング工具を使用
  • 送り速度と回転数の最適化
  • 内部冷却による切りくず排出と熱対策

熱集中の防止

熱がこもりやすく、寸法精度に悪影響を与えることがあります。熱変形を抑えるための対策が必要です。

熱管理対策

  • 切削条件を低速・高送りに設定
  • 高性能な冷却液を大量に供給
  • 連続加工を避け、休止を挟む


ガンドリル加工で世界一を目指す

私たちが得意とするのは、SCM材など難削材へのガンドリル加工です。ガンドリルマシン・BTAマシン・CNC複合旋盤を多数保有し、深穴加工の専門技術を駆使して国内外の多様なニーズに応えています。

最新設備と技術者の教育体制を整備し、SCM材のような高難易度素材でも、高品質・短納期・高精度を実現する体制を構築しています。

ガンドリル加工の実績

銅(C1100)

銅(C1100)のガンドリル加工実績

加工方法
ガンドリル加工
素材
C1100(タフピッチ銅)
穴数
各16穴ずつ
穴形式
2.5とφ3.8の止まり穴

この加工の詳細>>>


アルミ合金(A5052)

アルミ合金(A5052)のガンドリル加工実績

加工方法
ガンドリル加工
素材
A5052(アルミ合金)
表彰
ものづくり優良企業賞
穴形式
片側貫通ガンドリル

この加工の詳細>>>


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ガンドリルやBTA加工は不二新製作所

ガンドリル加工やBTA加工についてのお問い合わせは、お電話か下記のメールフォームよりお願いします。ガンドリル加工やBTA加工の材料となる金属材の手配から、ガンドリル加工やBTA加工まで一貫生産をより高品質・短納期で金属加工ができる仕組みを確立しています。他社で「できない」と断られた難しいとされている金属加工(ガンドリル・BTAなどの深穴加工や細穴加工)もぜひご相談ください!お問い合わせは、お電話か下記のメールフォームよりお願いします。

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加工サンプル

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ガンドリル加工・BTA加工サンプルの一例です。保守契約の関係上、プレート材(板材)や特殊形状物へのガンドリル・BTA加工などはお見せできないものが多数あります。

設備紹介

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当社で扱っている、ガンドリル加工・BTA加工のための機械設備をご紹介します。協力会社とのネットワークにより、図面一枚であらゆる加工に対応しております。

会社概要

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深穴加工を中心として各種金属・非鉄金属だけにとどまらず樹脂加工などあらゆる加工を手がけて、社会への貢献につながってゆくことを目指しております。