ステンレス素材でガンドリル加工する際の特徴と注意点

ステンレス素材でガンドリル加工

不二新製作所では、ステンレス素材を使ってガンドリル加工を依頼したいというお客様の声があります。ステンレスは、硬度や熱伝導性などに独自の特性があり、これを理解しないままガンドリル加工を行うと、加工不良や工具摩耗の原因となります。今回は、ステンレス素材を使用したガンドリル加工の特徴や注意点について解説します。


ステンレスのガンドリル加工の特徴

そもそもステンレスとは

ステンレスのガンドリルサンプル1

ステンレスは、鉄にクロムを主成分として加えた合金で、高い耐食性と強度を備えています。中でもSUS304は加工性と耐食性のバランスに優れ、多くの産業で利用されています。医療機器、食品加工設備、建築部材など、衛生面と耐久性が求められる分野で重宝されています。しかし、その高い硬度と粘り強さのため、ガンドリル加工には高度な技術と管理が必要です。


ステンレスの特徴

高い耐食性

ステンレスのガンドリルサンプル2

ステンレスは、空気中の酸素と反応して表面に不動態皮膜を形成し、これが錆や腐食から内部を保護します。水回りや屋外環境、化学薬品が存在する場所でも、長期間にわたり美観と性能を保ちます。この性質により、配管やタンク、厨房機器など幅広い用途に利用されています。


優れた強度と耐熱性

ステンレスのガンドリルサンプル3

ステンレスは高温環境でも強度を保ち、変形しにくいという特性があります。特に耐熱鋼として使用されるSUS310などは、800℃を超える環境でも安定した機械的特性を発揮します。ボイラー部品や熱交換器など、熱負荷の高い機器でも活躍しています。


加工性の課題

ステンレスのガンドリルサンプル4

ステンレスは粘りが強く、加工中に切りくずが長く伸びやすいため、工具への負荷が大きくなります。特に深穴加工では切りくずの排出が難しくなるため、切削条件の最適化や工具選定が重要です。また、加工硬化が起きやすいため、再加工時の難易度も上がります。


衛生性と美観性

ステンレスのガンドリルサンプル5

ステンレスは非多孔質で汚れが付きにくく、洗浄が容易であるため、医療機器や食品設備など衛生面が重視される分野に最適です。また、鏡面仕上げやヘアライン仕上げなど、外観を美しく整えることも可能で、デザイン性も兼ね備えています。


ガンドリル加工とは

ステンレスに対するガンドリル加工は、主に高精度な深穴あけを目的としています。ガンドリルとは、細くて深い穴を直進性高く、かつ美しく加工するための特殊な切削技術です。

ガンドリル加工のポイント

高真直度
硬い素材でもブレの少ない真っ直ぐな穴が可能
内面仕上げ
内部の滑らかさが求められる機械部品などに最適
熱影響
内部冷却で熱変形を抑制しやすい


ガンドリル加工とは

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ステンレスへのガンドリル加工のメリット

ガンドリル加工は、長くて深い穴を高精度かつ滑らかに加工できる技術です。ステンレスに対しても有効で、以下のようなメリットがあります。

高精度な穴あけ

硬度が高いステンレスは、通常のドリル加工では反りやすく、精度にばらつきが出やすい素材ですが、ガンドリルなら真直度を保ったまま安定した穴あけが可能です。


優れた表面仕上げ

内面の滑らかさが求められる場合、ガンドリル加工は仕上げ加工なしでも使用可能なほど高品質な仕上がりが期待できます。


切りくず排出が容易

ステンレスは切りくずが長くなりやすい素材ですが、ガンドリルの内部排出機構により詰まりにくく、効率的に加工が進められます。


高速な加工速度

ガンドリルは深穴加工においても、一定の条件下で高速加工が可能で、生産性の向上に寄与します。


精密な冷却システム

内部冷却により、加工熱を効率よく除去し、熱による膨張や変形を抑えることができます。これにより精度を高く維持できます。


ステンレスのガンドリル加工の注意点

ステンレスは優れた性質を持つ一方で、加工が難しい素材でもあります。特にガンドリル加工においては、熱の集中、工具摩耗、切りくずの排出不良などの課題をクリアしなければ、高精度な加工は難しくなります。

ガンドリル工具への負荷

ステンレスは硬く、粘りもあるため、加工時にドリルに強い負荷がかかります。特に切りくずがうまく排出できないと工具の摩耗や破損に繋がります。

ガンドリル工具への対策

  • 高硬度コーティングされた工具の使用
  • 適正な送り速度と回転数の管理
  • 内部冷却による温度管理と切りくず除去

加工熱の制御

ステンレスは熱がこもりやすく、加工部位に熱が集中すると、寸法誤差や工具の寿命低下の原因になります。

熱管理対策

  • 切削条件の最適化(低速・高送り)
  • 大量の冷却液を使用する
  • 連続加工を避け、インターバルを設ける


ガンドリル加工で世界一を目指す

私たちが得意とするのは、ガンドリルマシン・BTAマシンによる細穴加工と深穴加工です。弊社ではガンドリルマシン・BTAマシン・CNC複合旋盤を複数台設置、徹底した効率化と高度化を図り、国内外からのニーズにお応えしています。

また、人材育成とガンドリル・BTA周辺装置更新を積極的に行い、社内生産効率を大幅アップに成功し、材料手配から納品までをより高品質・短納期対応可能な仕組みを確立しました。

ガンドリル加工の実績

銅(C1100)

銅(C1100)のガンドリル加工実績

加工方法
ガンドリル加工
素材
C1100(タフピッチ銅)
穴数
各16穴ずつ
穴形式
2.5とφ3.8の止まり穴

この加工の詳細>>>


アルミ合金(A5052)

アルミ合金(A5052)のガンドリル加工実績

加工方法
ガンドリル加工
素材
A5052(アルミ合金)
表彰
ものづくり優良企業賞
穴形式
片側貫通ガンドリル

この加工の詳細>>>


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ガンドリルやBTA加工は不二新製作所

ガンドリル加工やBTA加工についてのお問い合わせは、お電話か下記のメールフォームよりお願いします。ガンドリル加工やBTA加工の材料となる金属材の手配から、ガンドリル加工やBTA加工まで一貫生産をより高品質・短納期で金属加工ができる仕組みを確立しています。他社で「できない」と断られた難しいとされている金属加工(ガンドリル・BTAなどの深穴加工や細穴加工)もぜひご相談ください!お問い合わせは、お電話か下記のメールフォームよりお願いします。

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加工サンプル

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ガンドリル加工・BTA加工サンプルの一例です。保守契約の関係上、プレート材(板材)や特殊形状物へのガンドリル・BTA加工などはお見せできないものが多数あります。

設備紹介

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当社で扱っている、ガンドリル加工・BTA加工のための機械設備をご紹介します。協力会社とのネットワークにより、図面一枚であらゆる加工に対応しております。

会社概要

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深穴加工を中心として各種金属・非鉄金属だけにとどまらず樹脂加工などあらゆる加工を手がけて、社会への貢献につながってゆくことを目指しております。