金属加工コラム
金属加工は数千年の歴史があります。諸説ありますが、太古の金発掘が金属加工の始まりといわれ、飛行機や船といった大掛かりの金属加工や、銅像や車といった中程度の加工、スマホや硬貨といった…
ガンドリルやBTA加工において、切削油は加工の品質や効率を左右する重要な役割を果たしています。本記事では、ガンドリル・BTA加工に使用される切削油の役割や種類、選び方について詳しく解説します。冷却・潤滑・洗浄・防錆の効果により、深穴加工をより高精度かつ効率的に行うための切削油のポイントのガイドをします。また環境への配慮や安全対策についても触れ、作業環境を整えるヒントもご紹介します。
ガンドリル(Gun Drill)およびBTA(Boring & Trepanning Association)加工は、特に深穴を加工するための特殊な技術です。深穴加工は、ワークピースの表面から10倍以上の深さの穴を掘る際に用いられるもので、自動車部品、航空宇宙、医療機器など、非常に精度が重要な分野で重宝されています。これらの加工には、高度な技術と専用の工具が必要となりますが、特に深穴加工にはその穴の深さに応じた特殊な切削油も不可欠です。
ガンドリルは、その名の通り、銃身の穴を加工する際に開発された技術です。ガンドリル工具は、穴の内部を冷却し、切削くずを除去するために、中心を貫通する穴があり、この穴を通じて切削油を供給します。これにより、非常に細く長い穴を高精度に加工できます。主に、航空機のエンジン部品や、医療用の針やカテーテルの製造に使用されるほか、精密な部品が求められる業界全般で広く用いられています。
BTA加工は、より大径で深い穴をあけるための技術です。BTAドリルは、工具の外周部から切削油を供給し、中心部から切削くずを除去するシステムを採用しており、ガンドリルよりも高い効率で加工できます。主に、大型部品や厚みのある金属部品の製造に使用されており、特にエネルギー産業や重機製造、化学プラントの熱交換器の製造など、大型部品で深穴加工が必要な場面でよく使われています。
ガンドリルやBTA加工において切削油は、加工精度や工具の耐久性を左右する非常に重要な要素です。深穴加工では、穴の深さと工具が接する面積が大きくなるため、摩擦によって発生する熱が非常に高くなります。このため、切削油には冷却、潤滑、洗浄、防錆の効果が求められます。
切削油には水溶性と油溶性の2つの主要なタイプがあり、それぞれ異なる利点と用途があります。深穴加工の種類や加工する素材によって、最適な切削油が異なります。
ガンドリルやBTA切削油のメリットは、多岐にわたります。適切な切削油を使用することで、加工効率が向上し、工具の寿命が延びるだけでなく、加工コストの削減にもつながります。
ガンドリル・BTA加工には非常に多量の切削油を使用します。通常粘度10mm2/s前後、塩素量2~3%の油剤が多く使われています。しかし、平成10年3月に「切削油からダイオキシンが加熱で発生する恐れ」と新聞で報道され、塩素系切削油の非塩素化が緊急で重要な課題とされました。この課題に向き合うために、不二新製作所では、切削油に「非塩素系切削油剤」を使用しいます。
しかし、現在の日本国内におけるガンドリル加工・BTA加工の現場で、塩素系切削油の使用を未だに続けている業者が数多く存在しています。
ガンドリルマシンやBTAマシンの大きさにもよりますが、油タンクの容量は通常、800~2000リットル以上あります。特殊油のため非常に高価である為、仮に油代が400円/リットルとすると、400円×2,000リットル=800,000円のコストが掛かってしまいます。
ガンドリル/BTAマシンを複数台所持の場合
1つ目で挙げていた「切削油を切替でかかる大きなコスト」の理由から切削油を一度に変えるのではなく、少しずつ変えていくと良いと思う方もいるかもしれません。しかしこれは非常に難しい問題で、別々の油を混ぜた経験のある方ならお分かりでしょうが、油自身が上手く混ざらず分離してしまう恐れがあります。さらに、それぞれに含まれている成分同士が化学反応を起こして、ガンドリルマシン・BTAマシンタンク内部にスラッジと呼ばれる汚泥が生成されたりします。 また化学反応により人体に悪影響を及ぼす物質が発生しないとも言えません。
新聞では、ガンドリル加工・BTA加工時などに使用する切削加工時のダイオキシン発生の可能性について論じていましたが、発生の有無については、まだ解明されていないとも述べられていました。よって、法律で罰則を規定しないなら、ガンドリル加工・BTA加工時などに使用する油を変えるようなリスクは犯したくないというのが多くの業者の本音だと思います。
しかし、潤滑油の廃油は再生重油としてリサイクルされることが多く、再生重油中に塩素系切削油が混入した場合のダイオキシン発生が懸念されます。塩素系切削油(塩素系金属加工油)と塩素を含まない潤滑油を分別回収すれば問題が解消されますが、多くの需要家では分別していないのが実情と思われます。このような状況下、塩素系添加剤を含む切削油の規定を削除する動きがあり、平成12年に新JIS規格が制定され、改正JISでは環境を考え、塩素系添加剤を含む切削油が分類から完全に除外されました。
不二新製作所では、この問題に早くから取り組み、平成10年末から切削油を切り替えるための試験を繰り返し、平成12年のJIS改定に合わせ、非塩素系切削油に完全に切り替えました。
一般に切削油を非塩素化すると加工性の低下の他、塩素系切削油では発生しなかった問題も数多く報告されています。 これはガンドリル加工やBTA加工についても言えることで、非塩素系に切り替えることにより切りくずが長くなり、それに伴って工具の折損が増加したり、仕上げ面粗度が悪化するなど、加工面からはあまり良いことはありません。
不二新製作所ではこれらの問題に対し、特殊添加剤のブレンド配合により工具の磨耗、構成刃先の発生を防ぎ、ガンドリル・BTA用工具寿命の延長や仕上げ面粗度の向上に力を入れて参りました。 また、不水溶性切削油特有のミスト・皮膚障害など作業者の安全・衛生上の問題や、機械やワークの錆など作業性・生産性に関する問題についても改善を重ね、またガンドリル・BTA加工後の廃油処理に関しても、信頼のおける業者に依頼することできちんと管理されております。
最後に切削油剤には大きく分けて二つの種類があり、潤滑作用を主目的とし、原液で使用する「不水溶性切削油」と、冷却作用を主目的とし、水に希釈して使用する「水溶性切削油」があります。 平成12年に改正されたJISでは、不水溶性は成分と銅に対する腐食性から4種に、水溶性は成分と希釈したときの外観から3種に分類されました。
私たちが得意とするのは、ガンドリルマシン・BTAマシンによる細穴加工と深穴加工です。弊社ではガンドリルマシン・BTAマシン・CNC複合旋盤を複数台設置、徹底した効率化と高度化を図り、国内外からのニーズにお応えしています。
また、人材育成とガンドリル・BTA周辺装置更新を積極的に行い、社内生産効率を大幅アップに成功し、材料手配から納品までをより高品質・短納期対応可能な仕組みを確立しました。
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