ガンドリル加工とは

ガンドリル加工とは

ガンドリル加工とは、深穴や細穴加工を専門としたドリル型で穴をあける金属加工の名称です。この加工手法は、ガンドリルの文字通り、元来は小銃や猟銃など銃の穴をあけるために開発されたことから名付けられました。深穴加工をこのガンドリル加工以外の通常ドリルで加工しようとすると、加工している穴径の中に切屑が詰まり、金属素材を傷つけてしまうデメリットが生まれます。

半面、ガンドリル加工は、加工している穴径の中の切屑を効率的に排出してくれるため、加工内を傷つけることなく品質の高い深穴加工を行うことが可能です。

ガンドリル加工の仕組みを動画で解説

上記の動画にもあるように、ガンドリル加工は特殊形状のドリルを使用します。このガンドリルの先端からポンプで高圧のクーラントと呼ばれる切削油を噴射しながら回転をし、切削を行うことで、加工時に出る切屑を回転するシャンクの外側のV溝をとおして外部に吹き飛ばす性能を持っており、内径を傷つけずに加工することが可能です。

ガンドリル工具の構造

ガンドリル加工で使われる工具は、大きく分けると三つの主要部品から構成されています

ガンドリルの切れ刃

切れ刃は工具の先端部に取り付けられており、ワーク(加工対象)に直接接触して切削を行います。高硬度で耐摩耗性に優れた超硬合金や、さらに耐久性を高めるためにダイヤモンドコーティングが施される場合もあります。切れ刃の形状は、切りくずを細かく破砕し、V字溝を通じて効率よく排出する設計になっています。

ガンドリルのシャンク

シャンクはガンドリル工具の長い棒状の部分です。この部分は、工具の回転運動を伝える役割を果たします。また、外周にはV字型の溝(V溝)が刻まれており、この溝が切りくずの排出路として機能します。シャンクの剛性は、工具が加工中にたわまず、真直度を維持する上で非常に重要です。

内部冷却穴

ガンドリル工具の中央には、切削油を通すための貫通穴が設けられています。この冷却穴を通じて、高圧ポンプから供給される切削油が工具先端に直接送り込まれます。これにより、加工面の冷却と潤滑を行い、切りくずを効率よく流し出すことが可能になります。

ガンドリル加工の切り屑排出プロセス

ガンドリルの切削油供給

高圧ポンプにより、切削油が工具内部の冷却穴から先端部へ供給されます。この際、工具先端の切れ刃周辺を効果的に冷却し、加工によって生じる高温を抑制します。また、潤滑効果により、切れ刃とワークの摩擦を減らし、工具寿命を延ばすことにも寄与します。

切りくずの生成と移動

切れ刃がワークを削り取ると、切りくずが発生します。切りくずは通常、細かく砕かれ、加工中に効率よく排出できるよう設計されています。ガンドリルのV溝は、この切りくずをシャンクの外周部へ導くため、切りくずが工具内部や加工穴内に滞留することを防ぎます。

切りくずの排出

切りくずは、V溝を通じて高速回転の遠心力と切削油の圧力によって、工具外部に吹き飛ばされます。この過程により、切りくずが穴の内壁を傷つけることなく、スムーズに排出されます。

ガンドリル加工の特徴

● ガンドリルの直進性が優れている
● CNCによる高精度の深穴加工に対応
● 優れた面仕上げが可能
● 深穴加工も細穴加工もワンステップで対応可能
● 工具の再研削が容易
● 高硬度材、ステンレス鋼、耐熱鋼などの難削材への深穴・細穴加工に対応可能
● 小径穴な細穴加工(φ3~φ30)に向いている
● 傾斜穴および交差穴が対応可能である

不二新製作所が提供するガンドリル加工のつよみ

不二新製作所が過去に手掛けたガンドリル加工の実績写真

不二新製作所では、ガンドリル加工やBTA加工のバイトや工具を独自のものを使用しており、従来のガンドリル加工と比較して、出口側での芯ずれ精度を半分以下に抑えての加工が対応可能です。材料に対する知識、工具の製作精度、ワーククランプ方法、最適な加工条件設定、温度管理などさまざまなパラメータ管理によって実現します。


ガンドリル加工サンプル

ガンドリル加工サンプル

ガンドリル加工とは、深穴加工や細穴加工を専門としたドリルの名称です。ガンドリル(Gun Drill)の文字通り、元来、小銃や猟銃など穴をあけるために開発されたことから名付けられています。…

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ガンドリルの対象

当社が得意とする、ガンドリルは深穴・細穴・精密を対象とした加工です。角材や板材や特殊形状物へのガンドリル、PCDといった深穴のガンドリルやBTAなど、下記以外にも、協力工場ネットワークによってさまざまな加工に対応が可能です。

ガンドリル穴径(mm)
φ0.5 – φ30まで対応可能
最大外径 x 材料長さ
φ340 x 1000(1200) mmまで対応可能


ガンドリル加工Q&A一覧

Q1.ツイストドリルとはどんなドリル?
Q2.ガンドリルとはどんなドリル?
Q3.ツイストドリルとガンドリルの違いは?
Q4.ガンドリルのドリル形状はどんなもの?
Q5.ガンドリルの対応可能な深さは?
Q6.ガンドリルの穴の曲がりはどのくらい?
Q7.ガンドリル加工できる材質は?
Q8.ガンドリルの再研磨は可能?
Q9.切削油はどのようなものを使用?

ガンドリルQ&A

Q1. ツイストドリルとはどんなドリル?

ツイストドリルとは、金属や木材、プラスチックなど多種多様の素材に穴を開けるための切削工具の一種です。名前の通り、工具の本体が「ツイスト(ねじれている)」形状をしており、ねじれた溝によって切りくずを排出しやすくしています。切削効率が高く、精度の高い穴あけが可能であり、ねじれ溝により、切りくずの排出がスムーズであるため高品質な加工に向いています。

Q2. ガンドリルとはどんなドリル?

ガンドリル(Gun Drill)とは、主に深穴(深さが直径の10倍以上)を高精度に開けるための特殊な切削工具です。もともとは銃身(ガンバレル)の穴あけに使われたことからこの名前がついています。また上記のツイストドリルに比べて専用機械が必要な場合が多いです。

Q3. ツイストドリルとガンドリルの違いは?

ツイストドリルは、日常的な穴あけ作業に広く使われる一般的なドリルで、ガンドリルは、特に深穴加工を得意とする特殊なドリルです。ガンドリルを使用するには専用のガンドリリングマシンが必要であり、初期導入コストは高めです。ただし、大量生産や高精度加工では、ガンドリル加工が優秀です。優れたコストパフォーマンスを発揮します。

ガンドリルと通常ドリルの違いの詳細>>>

Q4. ガンドリルのドリル形状はどんなもの?

ガンドリル加工は「超硬刃部」「シャンク」「ドライバ」で構成されています。「シャンク」と「超硬刃部」はV字形の断面で、切削時に刃部先端から切削油が噴射され、V字の溝から排出されるためにフィードバックなしで深穴加工ができるようになっています。

ガンドリルのドリル形状はどんなもの?

Q5.ガンドリルの対応可能な深さは?

ガンドリルは、非常に深い穴を開けることができる特殊なドリルです。その対応可能な深さは、通常、穴の直径の10倍から30倍程度と言われていますが、実際の深さは使用するガンドリルの仕様や機械、冷却液の供給能力によって異なることがあります。例えば、直径が1mmのガンドリルでは、10mmから30mmの深さまでの穴を開けることができる場合があります。一部の高精度なガンドリルでは、直径に対してさらに深い穴を加工することも可能ですが、冷却と切りくずの排出が重要な要素となります。

Q6.ガンドリルの穴の曲がりはどのくらい?

ガンドリルは、非常に高い直進性を誇る工具で、穴の曲がり(偏芯やねじれ)を極めて抑えることができます。弊社のガンドリルマシンは直進性が優れており、高精度の深穴加工が実現できます。直進度は150mmの長さで0.01mm以下、心ずれ精度は、150mmの長さで0.2mm以下が可能。φ10mmの穴を1000mmの深さであける際、芯ずれを0.3mm以下に抑えられます。(条件によって変動あり)

Q7.ガンドリル加工できる材質は?

ガンドリルは、特に硬度が高い金属や合金、難削材の深穴加工に最適です。主に使用される材質には鉄鋼、ステンレス鋼、チタン合金、アルミニウム合金、銅合金、高硬度鋼、工具鋼など、ガンドリル加工が難しいと言われる材料も幅広い金属加工が可能です。お気軽にお問い合わせください。

Q8.ガンドリルの再研磨は可能?

ガンドリルの再研磨は可能ですが、再研磨には高い技術と精密な作業が求められます。ガンドリルは1枚刃の構造を持ち、非常に精密な穴開けを行うため、再研磨を行う際には注意が必要です。再研磨を適切に行わないと、穴の精度が損なわれたり、直進性や切削性能が低下したりすることがあります。是非お求めの企業さまはご連絡くださいませ。

Q9.切削油はどのようなものを使用?

非塩素系切削油剤を使用しております。非塩素系切削油剤とは、塩素を含まない切削油のことを指します。切削油は、金属加工中の摩擦を減らし、工具や材料の温度上昇を抑制し、切りくずを効果的に排出する役割を果たします。非塩素系切削油剤は、特に環境への配慮が重要視される現代の製造業において、塩素を使用しないことから、多くの利点があります。

弊社の切削油ガイド>>>

高精度を実現するガンドリル・BTAマシン

当社で扱っている、ガンドリル、BTA加工のための機械設備をご紹介します。多品種生産・少量生産だけでなく量産まで対応可能にできるように、すべての製造・加工装置をコンピュータによって自動化し、弊社独自の最新ガンドリル設備とデータベースを用いた独自のBTA加工技術による高品質・短納期を最も強みとしております。

当社が100%自社対応で得意とする、ガンドリル・BTAなどの深穴・細穴・精密加工以外にも、協力会社とのネットワークにより、図面一枚であらゆる加工が対応可能な体制を整えています。ここにご紹介していないその他、加工設備につきましても、ぜひお気軽にご相談ください。

周辺設備はこちら

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「ガンドリル」とは、深穴加工や細穴加工を専門としたドリルの名称です。ガンドリル(Gun Drill)の文字通り、元来、小銃や猟銃など穴をあけるために開発されたことから名付けられています。…

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ガンドリル加工で世界一を目指す

私たちが得意とするのは、ガンドリルマシン・BTAマシンによる細穴加工と深穴加工です。弊社ではガンドリルマシン・BTAマシン・CNC複合旋盤を複数台設置、徹底した効率化と高度化を図り、国内外からのニーズにお応えしています。

また、人材育成とガンドリル・BTA周辺装置更新を積極的に行い、社内生産効率を大幅アップに成功し、材料手配から納品までをより高品質・短納期対応可能な仕組みを確立しました。

ガンドリル加工の実績

銅(C1100)

銅(C1100)のガンドリル加工実績

加工方法
ガンドリル加工
素材
C1100(タフピッチ銅)
穴数
各16穴ずつ
穴形式
2.5とφ3.8の止まり穴

この加工の詳細>>>


アルミ合金(A5052)

アルミ合金(A5052)のガンドリル加工実績

加工方法
ガンドリル加工
素材
A5052(アルミ合金)
表彰
ものづくり優良企業賞
穴形式
片側貫通ガンドリル

この加工の詳細>>>


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ガンドリルやBTA加工は不二新製作所

ガンドリル加工やBTA加工についてのお問い合わせは、お電話か下記のメールフォームよりお願いします。ガンドリル加工やBTA加工の材料となる金属材の手配から、ガンドリル加工やBTA加工まで一貫生産をより高品質・短納期で金属加工ができる仕組みを確立しています。他社で「できない」と断られた難しいとされている金属加工(ガンドリル・BTAなどの深穴加工や細穴加工)もぜひご相談ください!お問い合わせは、お電話か下記のメールフォームよりお願いします。

お電話でのお問い合わせは

06-6794-5880

スマートフォンをお使いの方は、電話番号をタップして直接おかけください。

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06-6794-5881

メールでのお問い合わせ・お見積もり・発注のご連絡は

fujishin.gun@gmail.com

上記アドレスをクリックしていただくと、ご利用のメールソフトが立ち上がります。

加工サンプル

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ガンドリル加工・BTA加工サンプルの一例です。保守契約の関係上、プレート材(板材)や特殊形状物へのガンドリル・BTA加工などはお見せできないものが多数あります。

設備紹介

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当社で扱っている、ガンドリル加工・BTA加工のための機械設備をご紹介します。協力会社とのネットワークにより、図面一枚であらゆる加工に対応しております。

会社概要

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深穴加工を中心として各種金属・非鉄金属だけにとどまらず樹脂加工などあらゆる加工を手がけて、社会への貢献につながってゆくことを目指しております。